〈やさしくわかる〉推し活用語ガイド:アニメ&K-POPの“よく見る言葉”を、気持ちと一緒に解説します
- Koko

- 11月16日
- 読了時間: 7分
皆さん、こんにちは。編集のKです。
はじめて「推し活」の世界に足を踏み入れると、SNSのタイムラインには見慣れない言葉が並びます。 「同担?」「沼?」「カムバ?」 ——読むたびに少しドキッとして、でも、その世界のことが知りたくてワクワクする。そんな気持ち、ありませんか?
この記事は、推し活の「はじめの一歩」を踏み出すあなたのための、やさしい用語ガイドです。 辞書のように言葉を固く並べるのではなく、「どんな気持ちの時に使うの?」「知っておくと、どんないいことがあるの?」という“空気感”ごと、丁寧にお届けします。
大丈夫です。推し活は、言葉を覚える競争ではありません。「好き」という気持ちを、もっと豊かに表現するためのお守りとして、あなたのペースで受け取ってくださいね。

目次
1. 日本の推し活用語(アニメ・アイドル発の「気持ち」を表すことば)
まずは、日本のアニメやアイドル文化の中で育まれてきた言葉たちから。 SNSの普及と共に広まった、個人の「高まる気持ち」を表現するための、情緒豊かでストレートな言葉が多いのが特徴です。

推し(おし)
意味: いちばん応援したい人やキャラクターのこと。
場面: カフェで写真を見ながら「やっぱり私の推し、かっこいい……」と、ため息まじりにつぶやく時。
ひとこと: 「最推し(いちばんの推し)」「箱推し(グループ全員推し)」などの派生語も。あなたの「好き」の形に合わせて使えます。
同担(どうたん)・他担(たたん)
意味: 同じ人(推し)を応援しているファン(同担)/グループ内の別メンバーを推しているファン(他担)。
場面: SNSのプロフィール欄に「同担歓迎です!」「同担拒否(ごめんなさい)」と書いて、自分のファンスタイルをそっと示す時。
ひとこと: 自分のスタンスを表明することで、心地よい距離感の仲間を見つけるための大切な言葉です。

尊い(とうとい)
意味: 好きすぎて、言葉にならないほどの感情。感謝や、もはや拝みたいという気持ちが溢れる様子。
場面: 推しの不意打ちの笑顔や、美しいパフォーマンスを見た瞬間、「……尊い」と(語彙力を失いながら)心の中で合掌する時。
<b>ひとこと:</b> もはや「尊師」と呼ぶ人も。感情が最高潮に達した時の、美しい諦めのような言葉です。
沼(ぬま)
意味: 一度ハマると抜け出せないほど、夢中になってしまう状態。
場面: 「最初は1枚だけのつもりだったのに」と、気づけばグッズで埋まった棚を見上げて、「完全に沼だ…」と幸せそうに呟く時。
<b>ひとこと:</b> 「沼落ち」とも言います。苦しいものではなく、むしろ幸福な状態を、少し自分を茶化しながら表現する言葉です。

供給(きょうきゅう)
意味: 推し本人や運営から、新しい写真、動画、情報などが発信されること。
場面: 仕事で疲れてSNSを開いたら、推しのオフショットが投稿されていた時。「供給きた! 生き返った!」と一瞬で元気になる。
<b>ひとこと:</b> 推しからの「供給」は、文字通りファンの生命線。日々の活力です。
現場(げんば)・遠征(えんせい)
意味: ライブやイベント、握手会など、推しに“リアルで会える”場所(現場)/そのために遠くまで出かけること(遠征)。
場面: 「次の現場のために、今週も仕事がんばる」「初遠征で緊張する!」
<b>ひとこと:</b> 遠征は、交通費や宿の計画も含めて「推し活」の醍醐味。その旅自体が、大切な思い出になります。

2. 韓国(K-POP)の推し活用語("行動"を共にするためのことば)
次に、K-POPのファンダム(ファン集団)で生まれた言葉たち。 K-POPの応援文化は非常に組織的で、ファン同士が団結して推しを支える活動が盛んです。そのため、「行動」や「協力」に関する実践的な言葉が多いのが特徴です。
ペン(팬)
意味: 英語の「Fan(ファン)」の韓国語読み。
場面: 「〇〇のペン(ファン)です」「よろしくお願いします!」と、ファン同士で挨拶する時。
<b>ひとこと:</b> 「オルペン(グループ全員のファン)」「〇〇ペン(特定のメンバーのファン)」のように使います。※日本でいう「〇〇担」に近いニュアンスです。
カムバ(컴백)
意味: 「カムバック(Comeback)」の略。新曲をリリースし、音楽番組などで活動を再開する期間のこと。
場面: 公式から「来週カムバ決定!」と発表され、「きた!カムバだ、忙しくなるぞ!」とファンが(喜びの)準備運動を始める時。
<b>ひとこと:</b> カムバ期間は、音源の再生、MVの視聴、投票など、ファンが一体となって推しを応援する「お祭り」の季節です。

トレカ
意味: CDやグッズにランダムで封入されている、トレーディングカード。
場面: CDを開封しながら「お願い、推し出て!」「あ!交換探さなきゃ!」と一喜一憂する時。
<b>ひとこと:</b> 推しのトレカを自力で引くこと(自引き)は至難の業。ファン同士の交換も活発に行われます。
ヨントン(영상통화 팬사인회)
意味: 「映像通話ファンサイン会」の略。オンラインで、推しと1対1でビデオ通話ができるイベント。
場面: 「奇跡的にヨントン当選した……何話そう……」と、人生で一番緊張する数分間のために、必死でカンペを準備する時。
<b>ひとこと:</b> ほとんどがCD購入者向けの抽選イベント。憧れの“神イベント”です。

スローガン
意味: コンサートなどで掲げる、推しの名前やメッセージが書かれた布製の応援幕。
場面: コンサートのアンコール中、ファンが一斉にスローガンを掲げて、推しへのサプライズと感謝を伝える時。
<b>ひとこと:</b> ファンが自主的に制作・配布することも多く、団結力の象徴でもあります。
3. 似ているようで違う?二つの文化と言葉の背景
ここまで見てきたように、日本と韓国の推し活用語には、少しだけ違いがあります。
日本の用語(尊い、沼、供給): 自分の「内側」で高まった感情や、推しから受け取ったものを表現する、「個人の気持ち」中心の言葉が多いです。
韓国の用語(カムバ、ヨントン、スローガン): ファン同士で「外側」に向かって行動を起こしたり、応援のシステムそのものを指す、「集団の行動」中心の言葉が多いです。
ただし、今はSNSで国境が溶け合い、日本のファンが「カムバだ!」と盛り上がり、韓国のファンが「尊い(翻訳機経由)」とつぶやくことも増えました。 文化が混ざり合い、お互いの「好き」の表現方法を、自然に取り入れ合っているのです。

4. 言葉を使うときの優しい約束
言葉を知ると世界が広がりますが、同時に、小さな配慮があなたの推し活をもっと豊かにしてくれます。
人それぞれの「好き」を尊重する 「同担拒否」の人もいれば、「同担歓迎」の人もいます。応援のスタイルに正解はありません。相手のプロフィール欄などをそっと確認し、「あなたはそうなんですね」と、お互いの心地よい距離感を大切にしましょう。
無理に背伸びをしない 「この言葉、使わなきゃ」と焦る必要はまったくありません。最初は周りの会話を眺めながら、「こういう時に使うんだな」と、自分のペースでインプットするだけで十分です。
喜びは大きく、否定は小さく 推し活は、何よりも「楽しい」が基本です。新しい言葉は、誰かの「好き」に共感したり、自分の「楽しい」を誰かに伝えるために使ってみてください。

5. まとめ:ことばは、あなたの「好き」を伝えるための優しい道具
推し活用語は、難しい暗号ではありません。 「好き」という、言葉にするには大きすぎる感情を、他の誰かと分かち合うために生まれた「やさしい合図」です。
「同担さん、はじめまして」
「その気持ち、わかります」
「カムバ期間、一緒に頑張りましょうね」
短い言葉のひとつひとつに、あなたの日常と、タイムラインの向こう側にいる誰かの日常を、温かく結ぶ糸が通っています。
今日知った言葉を、もし使ってみたくなったら、次の投稿にそっと添えてみてください。 きっと、あなたの「好き」が、もっと遠くまで届くようになります。 あなたの推し活が、言葉と共に、より深く、より優しい時間になることを願っています。



























